正解は『Yes』です。
アメリカの[National Geographic]という雑誌が6種類の香りを用い、読者1千万人を対象に行った調査結果があります。
図は解答者142万人の結果で、縦軸が匂いの分かる人の割合%、横軸は10歳ごとの年齢区分として示されています。 御覧のように、減少のしかたは、匂いの種類によって、あるいは男女によって異なりますが、いずれも年齢とともに減少しています。
全ての匂い、男女をまとめた全平均でいうなら、10歳代と90歳代では20%の減少となるそうです。還暦を過ぎた私には残酷な結果でしたが、信頼できる事実として認めないわけにはいきません。
しかし一方、負け惜しみでなく、「これはあくまで平均値であり、個人差はかなりあるはずだ」とも思います。 現に、香料研究室でしばしば行う匂い試験の結果をみても、必ずしも若い人が優秀とは言えないことが分かっています。 調香師といえども、年齢により嗅覚の衰えはあるはずですが、その程度は、訓練や経験により十分カバーされ得るものと信じています。
[エドモン・ルドニツカ(1905-1996)の場合]20世紀のグレイトパフューマの1人である彼は22歳で調香の道に入ったひとですが、91歳でなくなるまで、調香師として活躍しました。 その間、数々の作品を創作していますが、後世に残る名香、Femme(1944:Rochs)は39歳、Diorissimo(1956:Dior)は51歳、 Eau Sauvage(1966:Dior)はなんと61歳で創作しています。 さらに、85歳にはOceanRain(1990:Mario Valentino)を発表するなど、常人では考えられない仕事をしています。
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