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1章
香水
Q 香水のタイプをみわけるコツを教えてください。
タイプは一応定義されていますが、判定は結構、難しいものです。専門家でも意見の分かれることがしばしばあります。
成分に着目するだけでは、微量な配合成分であっても、注目することで過大に感じてしまう現象(マイフレP-104参照)のため、客観的判断が困難ななります。 強いてコツを示すなら、「全体の印象を感じ取ること」です。 花束調なのか、森林調なのか、東洋調なのか、先ずは印象を大づかみで分類しましょう。 その後成分を確認すれば判定しやすいと思います。
香楽塾ではタイプの代表として3種の香水をあげています。 ですから、それがアナイスアナイスに近いか、カボシャールに近いか、オピウムに近いかを判断基準にするといいでしょう。
Q 調香するときですが香料により配合量に基準がありますか?
配合量に基準などありません。 だからシベットだらけの香水をつくってもいいわけです。 (でも、その香りをかいだひとがどう思うかは容易に想像できるでしょう。)
多くの人が安心してかげる香りをめざすなら、おのずと配合量が前例のレベルで落ち着くでしょう。 しかしそれでは創造性がないと思う調香師は思い切って常識を超える配合を試みます。 これを”オーバードーズ”といいます。 多くの場合はだれにも支持されず失敗に終わりますが、時代的にタイミングがよければそこから新しいスタイル、タイプが芽吹きます。 最近ではエンジェルという香水が、これまでの常識を超えてバニラを配合して、新しいジャンル(グルマン)のさきがけとなりました。 このエンジェルの例は実は特別ではありません。「マイフレグランス」1−9 調香の流行に示したように、過去のスタイルの流行はすべてそのような挑戦の結果なのです。
Q なぜ香水は時間がたつと匂いがかわるのですか?

香水は数十から時には100を越える香料の混合物です。そしてそれぞれの香料は独自の揮発性をもっています。例えば20種類の香料でつくられた香水があったとして、つけた瞬間には20の香りの混じった香りでも、時間が経つに従い揮発してなくなってしまう成分があるので、10とか5とかの香料の混じった香りになってしまいます。香水には時間経過による変化を楽しんでもらうよう、処方されたものもあれば、なるべく香り変化をおさえて、いつも同じような香りがするよう構成された香水もあります。

Q 香水を鑑賞するときはどんな点に注意したらいいですか?
香りを鑑賞するとき大切なのは@分析とA統合の意識です。@は香りを分析的にみることで、調合されている素材に注目し、どんな香料がどのように配置されているかを観察します。Aは反対に、部分にはとらわれず、感覚を浮遊させ、全体がかもしだす雰囲気にひたるみかたです。もちろん@、Aは互いに関連するものなので、どちらかに偏った見方に陥らないようにすることが肝要です。鑑賞力のないひとは、表面的な印象だけで快・不快を言ったり、部分のみに注目した指摘しかできなかったりする傾向があります。
Q マリンノートとは?

海のイメージの香調をマリンノートというが、海草やオゾンを連想させる香料をキャラクタとした香水をさす。 ニューウエスト フォーハー(1990)、エスケイプ(1991)、ロードイッセイ(1992)、など数多くの香水がでているが、キャロンという強烈なグリーンノートとフルーティーノートをつかっている。

Q ホワイトフローラルノートとは?

ジャスミン、チュベローズ、ミュゲ、ガーデニア、ナルシスなど白い花の香りをイメージする、爽やかで清潔感のある香調の香水。 1970年代後半の流行となった香りでクロエ(1975)、アナイスアナイス(1979)、フルールドフルール(1982)などがある。

Q グルマンノートの香水例と配合されている素材は?

Fruity系: NINA RICCI[LES BELLES DE RICCI](1996)トマトリーフ、YVES SAINT LAUREN[IN LOVE AGAIN](1999)カシスバッド&グレ−プフルーツ、ESCADA[SEXY GARAFFITI](2004)ストロベリー&ラズベリー、ESCADA[IBIZA HIPPIE](2003)ライチ&ペア、ESCADA[ISLAND KISS](2004)ピーチ&マンゴー、GIVENCHY[HOT COUTURE](2000)ラズベリー、SALVATORE FERRAGAMO[INCANTO](2003)ピーチ&プラム、
Sweet系: THIERRY MUGLER[ANGEL](1992)チョコレート&バニラ、DISEL[DIESEL PLUS PLUS](1999)ミルク、NINA RICCI[BELLE DE NUIT](?)モカ、ESCADA[MAGNETIC BEAT](2003)キャラメル、BURBERRY[BRIT](2003)キャラメル

Q アンブレン調、メリス調とは?

オリエンタル調の骨格で代表的(古典的)な二つがアンブレンとメリスです。 アンブレンの構成要素は、ベルガモット、バニリン、クマリン、シベットで、「シャリマー」、「マストドゥカルティエ」、「オブセッション」にみられます。 メリスの構成はベンサリ、オイゲノール、パチュリ、ヒドロキシシトロネラールで、レールデュタンのアコードの流れをくみ「ユースデュー」「オピウム」「ココ」にみられる。

Q アリュールをグルマンに分類していますがその根拠は?

香料関係者には、アリュールはトレゾアの流れを汲むエンジェルの系統だ、とする見方がありグルマンにいれられます。 基本的にはバニラ(宣伝ではバーボンバニラといっているものあり)の部分をみていっているのでしょう。 しかし、食品系フレーバーの感じは強くないのででグルマンに入れなくてもいいかもしれません。 

Q 香料組成(配合比)は不変でもトワレとコロンのように香料トータルの濃度が変わると香りの印象はかわるのですか?
濃度が変わると、成分の相対的な比率は変わりませんが、絶対量は変わります。 香料には閾値というものがあり、ある濃度以下ではほとんど感じなくなりますが、その濃度の値は一定ではありません。 同様に濃度変化と香りの強さの変化も一様ではありません。 そこで絶対量が変化すると香りの印象も変化することになります。
Q アリュールをグルマンに分類していますがその根拠は?
香料関係者には、アリュールはトレゾアの流れを汲むエンジェルの系統だ、とする見方がありグルマンにいれられます。 基本的にはバニラ(宣伝ではバーボンバニラといっているものあり)の部分をみていっているのでしょう。 しかし、食品系フレーバーの感じは強くないのででグルマンに入れなくてもいいかもしれません。
Q モノリシックとはなんですか?
単一体構造(monolithic)のこと。トップ、ミドル、ラストという明確な3構造をもたない調香スタイルをさします。 ランコムのトレゾアに代表されるこの構造の特徴はトップからラストまで香り変化がすくないことです。 香りが一本調子なので古典的な構成を好むひとには違和感があるでしょう。
Q 香水成分表示にしばしばオキシベンゾンという記載がありますがなんですか?
ヒドロキシベンゾフェノン類の紫外線カット剤です。 美白化粧品でもないのになんではいっているのでしょうか?
それは紫外線が化学反応を促進する性質があるからです。香料は化学物質なので反応が起こって変質、変臭が起こってはまずいので入れています。 安全性に疑問があるとするデータもあるので、紫外線カットのためであれば、容器で工夫するほうがいいと考えます。
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